1.5. 科学のプロセス : トランス脂質は健康に悪いか
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実際の研究を掘り下げて調べること
科学のプロセスが現実世界の問題にどのように応用されるかをよりよく理解する1つの方法
我々が食べる食品の主要成分の1つでいくつかの異なる形がある
トランス脂質は自然には存在しないタイプで、工業的に製造される過程で生じる
トランス脂質は硬さを与え、長持ちし、しかも生産が安価であるため食品(特にマーガリン、ショートニングと水素添加オイルで調理された食品)に添加され、20世紀に増加した 1976年に始まった米国看護婦健康調査は12万人を超える看護婦(女性)を対象とした画期的なもの
調査の参加者は2年ごとに健康状態と食事習慣の質問項目に回答した
1994年に収集されたデータを解析した研究者は、トランス脂質を多く食べる人はほとんど食べない人よりも心臓病のリスクが約2倍高いことを発見した これは予測することなく集められたデータを解析したもので、発見科学のよい例
看護婦健康調査の結果は危険性について示唆しているが、トランス脂質と心臓の健康の関係について、依然として懐疑的な研究者もいた
2004年に発表された仮説に基づく科学において、オーストラリアの研究チームは人体の脂肪組織は摂取した食用脂質をわずかながら保持しているという観察から研究を開始した この観察は、心臓病患者の脂肪組織は健常者の似た人々と比較して測定できるほど異なるかという疑問を提起した 彼らの仮説は、異なるであろうというもので、それは次の予測となった 心臓は健康な患者の体脂肪は、心臓発作を起こした患者よりもトランス脂肪の量が少ないだろうというもの
次に研究者達は、心臓発作を起こした79人の患者の脂肪組織中の脂質の量を種類別に測定する実験を始めた そしてこれらの結果を心臓発作は経験していないが他の点では似た167人の患者のデータと比較した
トランス脂質は体内ではつくられないので、脂肪組織にあるトランス脂質はすべて食事で摂取したものと考えられる
実験の結果は、心臓発作の患者から見つかったトランス脂質の量は健康な患者よりも有意に高かった これらの実験結果は、トランス脂質は健康によくないので、食品二店化されるべきでないことを示す増えつつある証拠に加えられた
実際、いくつかの国(オーストラリアやデンマークなど)はトランス脂質を完全に禁止した
いくつかの米国の自治体も禁止の訴えに従った